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山彦 ギター用ピックアップGuitar

アコースティックギターの豊かな音色を引き出そう

ギターは一本一本それぞれの個性を持っていますが、ピックアップを使用して音を出した場合、その個性が十分伝えきれていないことが多いようです。
ギタ-のサドルのそばに設置したピックアップでは、ハウリングしにくく、大きな音量が容易に得られるようですが、楽器の個性が強く反映するボディの鳴りはあまり聴こえてこないようです。

弊社はピアノ用ピックアップを販売しており、今では世界中のコンサートの第一線で活躍しています。
このピアノピックアップのユーザーであるPA音響エンジニアの方から、アコースティックギターでもピックアップのように自然な音がとれるピックアップは作れないかとアドバイスいただいたのが、このピックアップの開発のきっかけとなりました。
このギターピックアップの基本設計方針は、多くの音のプロの方々から自然な音が得られると高くご評価いただいている、弊社ピアノピックアップの原理をギターに適用することでした。
そして、ギターの音色を特徴付けるボディーの鳴りをできる限り自然に再現することを第一に考え、構造、部品に関する妥協を廃して、音色と使いやすさにこだわって設計した結果、このようなユニークなボディーピックアップが完成しました。

自由な場所へ取り付け可能

このピックアップはギターの自由な位置に取り付けることができますので、自分のギターで自分の音が取れる場所を求めて、じっくり使い込んでいただければ、あなた自身の個性を生かした音が得られる可能性があることも、大きな特徴です。

ハウリングと向き合う~自然な音への追求と宿命

このピックアップの問題点についてもご説明しなくてはなりません。
耳に聴こえるギターの自然な音は主にギターの表板から出ていると考えられますが、これは表板の振動と音波となる空気の結びつきが強いということの表れです。
これは逆に空気の波がギターの表板を振動させやすいということでもあります。
その結果ハウリングもしやすくなってしまいます。
ハウリングは、表板の振動をピックアップでひろってスピーカーから音を出すと、その音が表板を振動させて、その振動をピックアップがひろって、さらに大きな音がスピーカーら出る、という繰り返しで「ウオーン」とか「キーン」という音になってしまうものです。
自然な音を求めると宿命としてハウリングと向き合うことが必要となります。

弊社では、ピアノピックアップで実績のある技術を用いてこのハウリングを最大限抑える工夫をしております。
その一つが、ギターの表板の周囲から近い点の振動を捕らえる構造です。
このような対策を施しておりますが、ハウリングの面においてはエレアコギターなどには及ばないこともあることをご理解ください。

今までには無かった原理と構造

このピックアップは今までには無かった原理、構造を持つ製品ですので、取扱説明書をよく読んでお使いください。
間違った使い方をすると良い音が得られないばかりでなく、ギターに傷を付けたり、ダメージを与える可能性があります。

CPS-BG1 取扱説明書 CPS-BG1 カタログ

木部の色や木目は一台毎に異なります。
製品の色は製造上の理由で予告無く変更されることがあります。

試奏ビデオ

YAMAHIKO BODY PICKUP FOR GUITARは、あなたの大切なギターを加工する必要がありません。
ギターのサウンドキャラクターを最大に引き出す、ボディピックアップの魅力を動画でご覧ください。

プリアンプを使用した、抜けのいい音色を作る例です。

取付けについて

あなたのアコースティックギターを加工せずに簡単に取付けられます。
ビンテージギターのような、加工したくないギターに用いるのに最適です。

音色について

このピックアップは表板の振動をひろってアウトプットするため、表板から生まれるアコースティックサウンドのエッセンスを多く引き出します。
弊社ピアノピックアップで培った技術を応用し、表板の周辺端に振動センサーを配置する構造で癖の少ない再生音を実現しました。
これまで一般的であった弦鳴り中心のピックアップ音とは一線を画する音色をご体験ください。

ただ、ナチュラルな音色にこだわったためデメリットも持ち合わせるにいたりました。
振動を音に換える能力の高いギターは周囲の音を振動に換える能力も高く、振動を忠実にひろい上げるが故に多少ハウリングが起きやすくなります。
さらに大音量を求める場合には、従来の弦鳴り中心のピックアップ(アンダーサドル型や電磁ピックアップ等)とミックスして使用するのも有効と言えるでしょう。

山彦ボディピックアップとマイクロフォンの比較

  • Body Pickup for Guitar CPS-BG1

  • Condenser microphone

出力ジャック

写真のように自由に回転するスイングジャックがピックアップの位置ズレを防止し、音色の安定を確保します。

取付けについて

ギターボディの厚さ 90mmから150mmの厚さを持ったギターに取付け可能
出力ジャック 1/4インチ フォンジャック
アンプ ピエゾピックアップ用入力、ハイインピーダンス入力を持ったギターアンプ等をご使用ください。
ピエゾピックアップ用プリアンプを使用すればどんなアンプでも使用できます。

セッティングInstall

アコースティックギター用ボディーピックアップは、このようにアコースティックギターの表板と裏板を外側から挟み込むように取り付けます。
ピックアップと表板が接するところにセンサーがあり、表板を伝わってきた振動を電気信号にかえて裏板側にあるジャックに出力します。

  • 出力ジャック

    ジャックは標準サイズ(1/4インチとか6.3mm言われています)です。
    ここにシールドのプラグを挿してアンプやPAに接続してください。

  • スイングジャック

    ギターを演奏しながら動き回ったりする場合、シールドケーブルは色々な方向に引っ張られます。
    そのときこのスイングジャックが回転して、シールドが引っ張られる方向に向きを変えます。
    この機能によってシールドが引っ張られることでピックアップの位置がズレたり傾いたりするのを防いでいます。

バックアームと出力ジャックBack arm

ギターの裏板は緩やかなアーチをもって膨らんでいます。
ピックアップのバックアームがこのギターのアーチにうまくフィットして、しっかりホールドさせるために、バックアームにも緩やかなアーチを持たせています。
それぞれがアーチを持つことによって、ボールとボールが接するように一点を中心にしっくりと触れ合います。

バックアームには適度な硬さと厚さのシリコンゴムが被せてあるため、シリコンゴムが適度に変形してバックアームが無理なくギターにフィットし固定されます。
シリコンゴムが消耗した場合は交換が可能です。

さらにバックアームには出力ジャックが取り付けられています。
出力ジャックには、ケーブルの重さや、ケーブルを引き回すときの力が加わります。
この力によってピックアップがずれたり回転すると、音色が変わったり、雑音が出てしまいます。
これを防ぐためにジャックを支える支点を、バックアームがギターの裏板と接する点の近くにしています。
さらにジャックが自由に回転することでピックアップを回転させる力がピックアップに加わらないようにしています。
しかしここが自由に回りすぎるとケーブルがブラブラしてしまいますので、適度なブレーキをかけてケーブルが遊ぶのを防いでいます。

保管方法Saving

大きいケースの理由

このピックアップを使用しないときはケースに入れて保管してください。
ピックアップを使い終わった時、ピックアップはギターの厚さに合わせて伸ばされた状態になっているでしょう。
ケースにはそのまま収納できるようにスペースが確保されています。
センサーアームをケースのクッションの溝に合わせて移動して、ノブ・ネジは伸ばしたまま収納してください。
次回使用するときはセンサーアームをノブの近くに移動するだけで、ノブをたくさん回転させることなくギターに取り付けることができます。

ポイント

  1. ノブを回転させてピックアップを縮めなくても収納できる
  2. 次回の取り付け時にもピックアップを伸ばす必要なし
  3. ノブをたくさん回転させなくてもよい

ボディピックアップと他ピックアップの違いDifference

まずギターが鳴る原理から考えましょう

弦をはじいて、音が聞こえるまでの動きと、音をとる方式をまとめてかくと以下の図式となります。

ピックアップ方式の違い

1. 弦の動きを捕らえる電磁ピックアップ

電磁ピックアップは代表例としてエレキギターに着いているピックアップで、弦のそば数ミリメータの位置に取り付けて弦の動きを磁石とコイルで電気信号にします。
アコースティックギター用として、ホールの中に取り付けるものをよく見かけます。
音色は原理上ハウリングしにくく、エレキギター的な独特な音色を持つものが多いようです。

2. ブリッジの振動を捕らえるサドルピックアップ

これはエレアコでよく使われているタイプで、弦に接しているブリッジの振動を振動センサで電気信号に換えて出力するもので、力強い独特の音色を持つものが多いようです。
最大のメリットはハウリングしにくいことです。

3. 表板の振動を捕らえるボディピックアップ

表板の振動を振動センサで電気信号に換えて出力するもので、ギターの振動を音として放射する表板の個性や特徴も反映された音が得られ、生ギターの音に近い音にすることができます。
空気の振動をとるマイクとは違い周囲の音は混じりにくいのですが、ギターの表板が周囲の音によって振動するので、実際には周囲の音がある程度入ってしまいます。
そのためボリュームを上げるとハウリングも起こります。

4. マイクで音を採る

これは普通に行われている。
スタンドにマイクをつけてギターのそばに立てる。
音は当然ナチュラルなのだが、ハウリングしやすく、周囲の音も入ってしまうので、例えばドラムのような大きな音が出る楽器のそばでは、ギターよりドラムの音のほうが大きくなってしまったりします。
結果、ギターの音を大きくしようとして、ギターのマイクのVRを上げるとドラムの音のほうがが大きくなってしまったりします。

貼り付けピックアップとの違い

貼り付けピックアップでも表板の振動をとることができます。
このボディピックアップとどのように違うのでしょうか。
振動を電気信号に換える仕組み 貼り付けピックアップは、貼った所の動き(振動速度、振動加速度、曲げ歪など)を電気信号にします。
ボディピックアップは裏板から伸びるアームで、センサを表板に押し付け、表板の振動を止めることにより発生する反作用力を電気信号にしています。
表板の振動を止めても影響が最小限となるよう、表板の周辺、エッジの近くにセンサを配置しています。
この方式は弊社のピアノピックアップでも用いられ、その自然な音色は世界のPA業界のプロのエンジニアに高く評価されています。

開発の歴史History

初期の試作機

最初は軽量化とコストを考えアルミ板で製作していたが、強度と共振の問題が大きかった。
しかし、ピックアップの基本コンセプトの可能性を確認できた試作機となった。
形状の工夫で強度と共振の改善を目指したが、ピックアップした音色に満足できず、アルミ板による製品化を断念し、削り出し構造に移行した。

切削加工部品を用いた初期の試作機

アルミ合金の無垢材から精密に削り出した部品により、ピックアップ本体の共振が抑えられ、ピックアップした音色についてはほぼ満足できるものとなったが、出力ジャックの取り付け方法はまだ定まってなかった。
本皮を縫製して作ったジャックホルダーに出力ジャックを入れて、ギターのエンドピンに取り付ける構成で、ストラップと一緒に取り付けることもできる。
しかし、現場でテストしてみると、奏者の動きでジャックがギターのボディーに当たり、わずかな打音が出てしまい不採用となった。
その後スイングジャックが開発され、この問題も解決された。